人材紹介のテレアポで「受付で切られる」「担当者に繋がっても断られる」が続くと、架電すること自体が苦痛になってきます。ですが、多くの場合は話し方の問題ではなく、架電リストの質・かける時間帯・最初の一言という、話す前の設計に原因があります。

この記事では、テレアポの成果が伸び悩んだときに見直すべきポイントを7つに整理しました。トークの巧拙よりも先に確認してほしい項目から順に並べています。あわせて、実際に使えるトーク例文と断り文句への切り返し集、架電前後のチェックリストも収録しています。

1. 架電リストが「採用しているか分からない企業」で埋まっていないか

業種・地域・規模だけで絞ったリストは、実際には採用ニーズがあるかどうか分からない企業の集まりになりがちです。この状態で架電すると、会話の大半が「今は募集していません」で終わり、アポ率が低いのは当然の結果になります。

まず見直すべきは、リストの起点です。求人媒体に新しい求人を出した、採用を再開した、求人数を増やしたといった「行動」が確認できる企業を優先してリスト化すると、電話の第一声から「採用ニーズがある前提」で話せるようになります。リストの作り方そのものを見直したい場合は、成果につながる営業リストの作り方で具体的な手順をまとめています。

たとえば、仮に1日に架電する100件のうち、新着掲載や増員のシグナルが確認できる企業を30件、属性だけで絞った企業を70件に分けて記録してみると、前者のほうが受付突破後の会話継続率が高くなる傾向があると考えられます。実際にこの比率を自社の架電記録から出してみると、リストの質がアポ率にどれだけ影響しているかを体感で把握しやすくなります。

2. 受付突破の言い回しを固定化していないか

「採用のご担当者様はいらっしゃいますか」という決まり文句は、受付側にとっても営業電話だと一瞬で分かるフレーズです。受付突破率を上げるには、次の2つを事前に用意しておくことが有効です。

  • 担当者名を特定してから架電する:企業サイトの採用ページやWantedlyのメンバーページなどの公開情報から、採用に関わる人物名を調べておきます。「〇〇様はいらっしゃいますか」と名指しで聞くだけで、取り次がれる確率は体感で変わります。
  • 要件を一言で言えるようにしておく:「求人票を拝見してご連絡しました」など、営業電話であることを隠さず、かつ具体的な要件を短く伝えられるようにしておくと、受付側も取り次ぎの判断がしやすくなります。

担当者への到達を体系的に設計したい場合は、決裁者アプローチの設計図も参考にしてください。

受付突破のフレーズは、状況に応じていくつかパターンを持っておくと応用が利きます。

状況 使える言い回しの例
担当者名が分かっている 「〇〇様はいらっしゃいますでしょうか。求人票を拝見してのご連絡です」
担当者名が分からない 「採用のご担当の方はいらっしゃいますでしょうか。〇〇職の募集についてご連絡です」
受付から「営業ですか」と聞かれた 「はい、営業のご連絡です。求人掲載を拝見して、支援実績のご案内でお電話しました」と正直に伝える
折り返しを提案された 「かしこまりました。念のため、ご担当のお名前とお戻りの時間帯を伺ってもよろしいでしょうか」

営業電話であることを隠そうとする言い回しは、受付側にすぐ見抜かれるうえ、仮に取り次がれても担当者に不信感を持たれやすくなります。要件を隠さず、短く具体的に伝える姿勢のほうが、結果的に取り次がれやすい傾向があります。

3. トークスクリプトが「説明」から始まっていないか

自社サービスの説明から入るトークは、相手にとって「聞く理由がない話」に聞こえます。効果的なのは、相手企業の採用の動きという事実から会話を始めることです。

「先週、営業職の求人を掲載されているのを拝見してお電話しました。同職種でのご支援実績が多くございまして…」

このように、観察した事実→実績・強みの提示→ヒアリングへの誘導、という流れを事前に型として持っておくと、電話ごとに話がぶれません。トークスクリプトの作り込み方は営業トークスクリプトの作り方と改善方法で詳しく解説しています。

実際の会話の流れを一連の例文として示すと、次のようなイメージです。

担当者:はい、〇〇です。 営業:お世話になります。△△と申します。貴社の営業職の求人を求人媒体で拝見し、ご連絡いたしました。今、少しだけお時間よろしいでしょうか。 担当者:はい、少しなら大丈夫です。 営業:ありがとうございます。弊社は同職種・同業界でのご支援実績が多くございまして、貴社の採用状況について2〜3点だけ伺ってもよろしいでしょうか。まず、今回の募集は増員でしょうか、それとも欠員の補充でしょうか。 担当者:増員です。事業拡大に伴って。 営業:ありがとうございます。承知いたしました。もしよろしければ、現在他の媒体やエージェントもご利用中か、差し支えない範囲で伺えますでしょうか。

このように、最初の質問は答えやすい二択形式にしておくと、担当者も警戒せずに答えやすく、そこから徐々に踏み込んだヒアリングに移行しやすくなります。

4. アポ率を「架電数」だけで管理していないか

架電数を追うことは大切ですが、それだけでは何が原因でアポが取れていないのか分かりません。最低限、次の3つの数字を分けて記録することをおすすめします。

指標 見るべきこと
受付突破率 架電リストの質・時間帯・言い回しの問題
担当者接続後の会話継続率 トークの入り方・要件の伝え方の問題
会話後のアポ獲得率 提案内容・クロージングの問題

どの段階で離脱が多いかが分かれば、改善すべき箇所を絞り込めます。感覚だけで「トークが悪い」と判断してスクリプトを変え続けるより、まずどの段階の歩留まりが低いかを数字で確認しましょう。

たとえば、仮に架電50件のうち受付突破が20件、担当者との会話継続が15件、そこからアポ獲得が3件だったとします。この場合、受付突破後の離脱が小さく、会話継続からアポ獲得までの歩留まりが低いことが分かります。つまり見直すべきは受付突破のフレーズではなく、担当者との会話の中身、特にヒアリングから提案への移行部分だと判断できます。数字を段階別に分解して初めて、こうした具体的な改善の的が絞れます。

5. 断られた時の切り返しを用意していないか

「今は必要ありません」「他社と進めています」という断り文句は、テレアポで最も多く出会う返答です。ここで会話を終わらせず、次につなげる切り返しをいくつか用意しておくと、同じ断り文句でも結果が変わります。

断り文句 切り返しの例
「今は必要ありません」 「今後、増員のご予定が出てきそうなタイミングはございますか。その際にご連絡させていただければと思います」
「他社と進めています」 「差し支えなければ、決まらなかった場合の候補として情報だけでもお送りしてよろしいでしょうか」
「今、忙しくて対応できない」 「かしこまりました。では改めて、お手すきのお時間にお電話させていただいてもよろしいでしょうか」
「予算がない」 「承知いたしました。成功報酬型のため、決定するまで費用が発生しない仕組みなのですが、情報だけでもお役に立てる場面があるかもしれません」
「担当者が不在」 「かしこまりました。恐れ入りますが、お戻りのお時間の目安を伺ってもよろしいでしょうか」

即座にアポが取れなくても、次回接触の許可を取れれば失注ではなく継続案件になります。断られた企業への継続フォローの設計は失注・休眠企業の掘り起こしとフォロー設計で扱っています。

また、切り返しの言葉は業界や規模によっても響き方が変わります。中小企業では代表や役員が採用を兼務していることが多く、コスト面の懸念を持たれやすいため「まずは情報交換だけでも」という軽い提案が有効な場面があります。一方、ある程度の規模の企業では人事担当が窓口になることが多く、社内稟議のプロセスを踏まえて「資料だけ人事内で共有いただければ」といった、相手の社内事情に配慮した切り返しが響きやすくなります。

業界特性も踏まえておくと切り返しの精度が上がります。たとえばIT・Web業界は採用スピードが速く、断られてもすぐ状況が変わりやすいため短いスパンでの再接触が有効な場合があります。一方、建設や製造など現場人材を扱う業界では、採用計画自体が四半期・半期単位で動くことが多く、次回接触のタイミングも長めに設定しておくほうが自然です。

6. かける時間帯を固定していないか

同じ企業でも、かける時間帯によって出やすさは変わります。始業直後や昼休み前後は担当者が離席していることが多く、逆に始業から1〜2時間後や夕方の落ち着いた時間帯は捕まりやすい傾向があります。曜日でも月曜午前と金曜午後では反応が違うことが一般的に知られています。かけて繋がらなかった企業は、時間帯を変えて再架電するルールを決めておくと、無駄な取りこぼしを減らせます。

時間帯だけでなく、業界の繁忙期・閑散期も踏まえておくと精度が上がります。たとえば経理・人事などのバックオフィス職を採用している企業は、決算期や年度末は多忙で電話対応が難しくなりがちです。逆に、そうした繁忙期が明けた直後は、採用の意思決定が動き出すタイミングにあたることも多く、架電の優先度を上げる目安になります。

再架電のルールを決めておくと、担当者ごとの判断のばらつきも減らせます。目安として、次のようなローテーションを組んでおくと管理しやすくなります。

  1. 1回目:午前中(始業1〜2時間後)にかける
  2. 不通の場合、2回目:同日の夕方にかける
  3. それでも不通の場合、3回目:翌営業日の午前中にかける
  4. 3回とも不通であれば、いったんリストの優先度を下げ、1〜2週間後に再度架電する

7. ロールプレイをやっていないか

一人で電話をかけ続けていると、自分のトークの癖に気づきにくくなります。定期的に同僚とロールプレイを行い、受付役・担当者役を交代しながら聞き返すと、自分では気づかなかった間の取り方や言葉選びの改善点が見つかります。特に新人メンバーには、実際の断り文句を使ったロールプレイを繰り返すことが、独り立ちまでの期間を縮める効果的な方法です。

ロールプレイを形だけのものにしないためには、次のような運用の工夫が有効です。

  • 実際にあった断り文句をそのまま使う:架空のシナリオより、実際に現場で言われた言葉を使ったほうが練習の効果が高まります。
  • フィードバックは1回につき1〜2点に絞る:一度に多くの指摘をすると新人が消化しきれず、かえって萎縮してしまいます。
  • 良かった点も必ず伝える:改善点だけでなく、うまくいった間の取り方や言い回しも具体的に褒めることで、再現性が高まります。
  • 週次など頻度を決めて継続する:単発のイベントではなく、定例の習慣として組み込むことで効果が積み上がります。

テレアポで成果が出ない時によくある失敗パターン

架電数をこなしているのに成果が伸びない場合、次のような失敗パターンに当てはまっていないか確認してみてください。

  • 相手の話を最後まで聞かずに次の提案をかぶせてしまう:担当者が状況を話している途中で遮ると、聞く姿勢がないと受け取られやすくなります。
  • 断られた瞬間に会話を終えてしまう:一度の否定的な返答で電話を切ると、次回接触の糸口すら残せません。切り返しの一言を挟む習慣をつけましょう。
  • 架電結果を記録せず、同じ企業に何度も同じトークでかけてしまう:過去のやり取りが分からないまま架電すると、担当者に「前にも同じ話をした」という不信感を与えかねません。
  • アポが取れた企業への準備を怠る:アポ獲得はゴールではなく商談の入り口です。獲得した情報を初回商談に引き継げるよう、架電中に得た情報は必ずメモに残しておきましょう。

架電前後のチェックリスト

毎回すべてを意識するのは難しいため、架電前と架電後に確認する項目をリスト化しておくと、担当者ごとの精度のばらつきを減らせます。

架電前チェック

  • この企業の採用ニーズを示す事実(求人・掲載・再開・増員)を確認したか
  • 担当者名、または狙うべき役職を特定したか
  • 話す要件を一言でまとめてあるか
  • 過去に接触した記録が残っていれば内容を確認したか
  • 断られた場合の切り返しを2〜3パターン思い出せる状態か

架電後チェック

  • 架電結果(不通・担当者不在・要件伝達済み・アポ獲得・明確な拒否など)を記録したか
  • 会話の中で得た情報(採用背景、他社利用状況、決裁者など)をメモに残したか
  • 次回接触のタイミングを決めたか
  • アポが取れた場合、初回商談に向けた引き継ぎ情報を整理したか

このチェックリストをチームで共有し、架電記録と紐づけて振り返る運用にすると、個人の勘に頼らずチーム全体のアポ率を底上げしやすくなります。

まとめ

テレアポの成果が伸びないときは、トークの巧拙を疑う前に「誰に、いつ、何を話す前提でかけているか」を見直してください。リストの質・受付突破の準備・時間帯という土台を整えるだけで、同じトーク力でも結果は変わってきます。数字を段階別に分解し、どこで離脱しているかを特定した上で、優先順位をつけて改善していくことが遠回りに見えて最短の方法です。トーク例文や切り返しのパターンは一度作って終わりにせず、実際の架電結果を踏まえてチームで継続的にアップデートしていく運用を心がけましょう。